10/10/2012

Chimayo, NM & Indian Name

"Santuario de Chimayo" NM

 物心ついたときからアメリカインディアンのことに興味があった。といってもそこまで詳しい知識を持っているわけではなく、またしても自分の中途半端な好奇心に情けなさを感じる。彼らの生き方、考え方が書かれた本は数多く出版されていて僕もそのいくつかの読者だったのだけど、同時に彼らのアート、クラフトにも興味があり、特に織物の色や柄、質感に惹かれてきた。その織物で有名なブランド、ニューメキシコ州チマヨの"ORTEGA'S"に行ってきた。と、ここまで書いておいて少し不安になったので調べてみたら、チマヨ地方の織物とインディアンの織物とはまた違うことを今更ながら知った。興味がある人はこのページをチェックしてください。そんな勘違いをしつつ長年憧れていた場所に行き、ブランケットやベスト、カバンを眺め手に取り、店の奥で実際に機織りされている様子を覗いてきた。いくつもの我慢を重ねたが、ここでの出費は想定内なのだ、とカバンを購入。その近くにはこちらも有名なSantuario de Chimayo(チマヨ教会)があり、そこは万病に効くという「奇跡の砂」があることでも知られている。復活祭のころには十何万人という信者が集まるらしく、何百キロも十字架を背負って歩いて来る巡礼者もいるのだそうだ。長い距離を歩く、ということにやっぱり僕はなにか惹かれるものがある。数年前の、自分の名古屋から葉山までの徒歩旅行はただの好奇心で行ったものだが、アメリカインディアンのロンゲストウォークや、10代のときからなぜか20代のうちに行こうと決めているフランスからスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路など、大きな思いを込めてひたすら歩き続けるという行為のもつ力を疑いなく信じる。チマヨ教会はそんなに大きな教会ではない。中に入ると前の方の席に数人座っている人たちがいた。その人たちは僕と同じく観光客なのか、地元もしくはどこかからやってきた信者なのかはわからなかった。その中でひとりすこし前屈みになってうつむいている、なにか祈っているような老人男性が見えたので、その二列後ろの席に座った。静かだった。誰か入り口から入ってくる人の足音がたまに聞こえてくる。中はすこし涼しくて空気(雰囲気)がシーンとしている。これはどこの教会にも通じるかもしれないけど。僕はキリスト教徒ではないし祭壇で磔にされているイエス・キリストに向かって本気で祈ることはしないが、その日は何かに向かって祈りを込めた。そこにいる何かを祈っている人たち、特に目の前の老人のその姿は本物だと思えたし、なんと言うか、僕はその人たちの祈りに乗せて祈った、という感じがしている。神聖な雰囲気の漂う空間で、その中で祈ることですこしでも何か大きなものへと通じてほしいと、周りの人たちから発散される祈りの神聖性に思いを馳せて便乗しようと試みた感じ。どういうふうに捉えられるか分からないけども、その時の僕はそうした。そしてしばらく座ってぼんやりしていると、前の老人は祈りを終え、立ち上がり通路へ歩き出した。そこで急に片膝を地面について、3秒ほどして立ち上がり、また外へと歩いて行った。僕にはその行為は何か意味のあることだったのか、ただ膝が痛んだというだけだったのかはわからないが、目を奪われてしまってずっと横目で眺めていた。
 インディアンのネーミングセンスにも感動した。Taos Pueblo内にある彼らが自分たちで営んでいる数々のお店の名前が、特に印象に残るものが多かった。あと車で走っていたときに見かけた地名も含めて、いくつか例を挙げる。
- Good Water
- Dead River
- SUMMER RAIN GIFT SHOP
- MORNING TALK INDIAN SHOP
- EVENING SNOW COME GALLERY
わかりやすい簡単な言葉しか使っていないのに、使っていないから、そこから見えてくるものがシンプルだけど豊かで物語的なのだ。こんなに潔い名前は気持ちがいいなと、妄想の中で将来やろうと思っているコーヒーショップの屋号をずっと考え続けている自分は気が楽になった。
- MORNING BIRD COFFEE
最近家族にインコが一羽仲間入りしたということもあるが、鳥が鳴き始める朝方にコーヒーを淹れ、本を読んだりおしゃべりをしたり朝一番のコーヒーブレイクをとっているときにだんだん日が差して来て、鳥たちが庭先にチュンチュン飛んできたらどんなにきもちいい一日のスタートだろう。ちなみに日本語表記になると「朝鳥珈琲」チョーチョーコーヒー。旅は学ぶものが多い。