CLOSING PARTY

ブラジルコーヒーin金山/名古屋, April 14, 2013




 4月14日日曜日の夜は、世界で一番幸せな場所にいて、世界で一番幸せな男だった。自分の朗読は本当に下手だし、緊張して最初の挨拶も最後の挨拶も、それはそれは恥ずかしいものだった。それでも、僕らしくてよかった、ちゃんと伝わってきた、なんて言って見守ってくれる仲間たちがいた。
 2年前のTribal Artsでの個展オープニングパーティで、僕が最初の挨拶をした直後にウェプシーズが爆音のブルースで会場を盛り上げてくれた。それがたまらなく爽快だったことをすごく憶えている。今回も、僕が朗読の前半を終えるのと同時に爆発してくれた。ロンサムストリングスのみなさんも楽しんでくれていたし、僕の友人たちも口々に、いいねいいねと言って体を揺らしていた。ウェプシーズにはこれからもずっとお願いしたいくらいだ。そして、お願いしたら間違いなくよろこんで、ご機嫌なブルースでこれからも僕を踊らせてくれる、と知っている。
 半年前に電話口で聞いた「ロンサムストリングス」というバンド名。ラジオから流れてきたというその心地いい音楽を、日本から電話でザッツが教えてくれたのだった。僕はアメリカにいた。電話口から聴こえてきた音だけでもう大好きになり、旅行中、パソコンでYouTubeなどを開いて何度も聴いていた。そして、今回そのアメリカ旅行中に撮っていた写真の展覧会が決まり、クロージングパーティーのことを考え始めると、すぐに決まったのはウェプシーズのライブだった。そして僕自身も、文章の朗読がしたかった。あと一組バンドを呼びたい......その時に僕の頭の中ではもう決まってしまったのだ。ロンサムストリングスに来てもらう!なんて、何のツテも無いのに決定していた。その直後に東京でのライブを観に行き、ますますイメージは膨らみ、桜井芳樹さんに宛ててその気持ちを伝えた。そしていくつかのやり取りの末に、ついに現実になってしまった。メールが返ってくる度にドキドキしながら開いていたことを思い出す。桜井さんからは夜中と朝方の間くらいの時間に返事が来ることが多かった。
このことは今回の僕には本当に意味のあることだった。制作にもプラスに働いたと思う。こんなこと当たり前だけど、より一層「妥協できない」という気になった。ロンサムストリングスのメンバーにとっては、(もちろん一般的にも、)名も顔も知らない若い写真家、でしかなかった僕だ。そんな僕のイベントへ来てもらえることへの感謝の気持ちは次第に、「この人のイベントを選んで良かった」と思ってもらえるように頑張ろう。というモチベーションになっていった。というか「そう思ってもらえなきゃ悔しい!」という感じが強かったか。実際どう思われたかはわからないけど、僕はそのおかげでやり切ることができた。やり切ることができたので、きっと少しは認めてもらえたんじゃないか、とも思える。
 そして迎えた4月14日日曜日の夜。世界で一番幸せな夜。夢に見ていたものを目の前にしたら、そこはもっと夢の中のようだった。イベント終了後に桜井さんとすこし話した。興奮も落ち着いてきていた頃だった。もう本当に満足しているということを伝えると、「これで満足しちゃいけませんよ」という言葉が返って来た。「これをスタートにしましょうよ」と。
 翌日、昼前にブラジルコーヒーに行ってコーヒーを。展示は、前夜のイベント後に搬出していた。マスターとママさん、亀ちゃんが心地いいいつものブラジルを営業していた。(以前働いていたので何人かのスタッフとは仲良し。) すこしするとロンサムクルーが置いていた機材を取りに来て、そのまますこしお茶した。あの時のラジオがここに繋がっている、なんて大袈裟かもしれないけど、そんなことが起きた今、ロンサムの3人を(生意気ですけど)すこし身近に感じていたりする。またこうした形でお会いできることを願っているし、きっとそうなると信じられる。だからまたやり続けていける。
再び神奈川へと向かう前の夕方、実家へ寄って愛犬よねの散歩をした。散歩から帰ると玄関までコーヒーの香りが漂って来ていて、リビングへ行って母と兄に合流した。母はすぐ出掛け、兄とすこし話し、駅まで送って行き、僕は東へ車を走らせた。去年の秋からオーストラリアにいる彼が今回、ちょうど一時帰国していたこともうれしかった。
 昨晩はなんと、ザッツが仕事帰りにロンサム原さとしさんのバンジョー教室に参加した。実は原さんとは割と同じエリアで暮らしていることも分かったり、なにかご縁がありそうなのだ。
 まあ、そんなこんなでちょっとしたひと区切り。こんなのを着々と続けていけばいいんだと信じて。「これをスタートにしましょうよ」という言葉がやさしく響いている。
 

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 今回展示に足を運んでくださった方、クロージングパーティーに参加していただいた方、本当にありがとうございました。特に最終日のあの感じは、僕は名古屋でしかできません。またやりましょうね。何度でも。2週間の展示と、最高のエンディングをありがとうございました。それと、最終日にzineもたくさん買っていただけたし、おかげさまで作品もいくつか売れました。すこしずつ、この選んだ道を歩いていきます。これからもどうぞよろしく。

 ライブ中に絵を描いてくれていた画家であり友人の、横井彰くん。リアルタイムで書き上げた絵、そして描いている時の横井くん自身、相変わらず最高だね。