12/24/2012

LITTLE THINGS


 最近は電車に乗って移動することが多い。東京へ出たり昨日は鎌倉へ。逗子の友人宅に泊まったので今日は逗子葉山をぶらぶらし、さっき帰宅した。電車内で吊り革につかまって立っていると無意識のうちに意外と強く握っていて指先に血が回っていない、なんていうことがよくあった。今日帰ってくるときもそれに気が付き、隣の中年男性を真似て手首ごと吊り革に通し、握らずに済むような使い方をはじめて試してみた。サラリーマンがよくやっているのを見ていたが、なんとなく今までは避けていたスタイルだ。手でグッと握る必要が無いのに大して手首にも負担が無く、これは楽で安定感があるなあとすぐに解決策を見つけた気分だった。けどその直後、窓ガラスに映った自分が見えたとき、どうしてもその手が「ニャン」とネコの手を真似るあの仕草に見え、恥ずかしくなってすぐに手首を抜いてギュッと吊り革を握りしめた。そうすると、今まで道りの握り方をしていても、前を見るとネコの手の自分が見えてゾクッとした。すこし考えたらすぐにその理由も分かり、要は手を握っているからそう見えていたということで、たしかに隣の男性は吊り革に通したその手を握りしめず、そしてパッと開く訳でもなく力の抜けた状態でぶら下げているようだった。さっそくまた手首を通し直し、そんなふうに力を抜いて引っ掛けているとこれが本当の解決策なのかもしれないな、と感じた。いいことを発見したみたいでちょっとだけ楽しくなり、それを試していたい気分だったけどすぐに自分の駅に到着してしまった。帰り道、自分の駅に着いた時に「着いてしまった」なんて気持ちになったのはもしかしたら初めてのことかもしれない。もちろんそれは本当にちょっとだけの気持ちではあるけれど、ひとついいことを発見したということに変わりはないだろう。まあ今後もうすこし試してみないとそれが結論かどうかはわからないけど。すくなくとも今日の発見、として。
 今年から暮らしているこの地域は、今のところまだ好きとは言えない相模原の住宅地なのだけど、駅から乗ったバスを降りて家まで歩いている途中、ベランダに大量の干し柿を吊るしている家を見掛けてすこし温まった。その前に犬の散歩をしている男性と薄暗い道ですれ違ったとき、犬に微笑んだ僕のことに気付いてかどうかわからないけど、そのお兄さんもニコニコしているように見えた。明日も午前中から予定があって東京へ出る。もちろん、できれば吊り革なんて使わずにシートに座りたい。
 この写真は関係ないけど、きのう仕込んだ白菜の漬け物。せめてもの季節の仕事として、白菜漬けだけでも毎年やり続けていきたい。そのモチベーションの半分近くは、実家にあったこの渋い重石を使っていたいという思い。