Midnight Joy

 仕事から帰る途中に連絡が入り、妻とひとりの友人と3人でご飯を食べて帰宅した。思いがけずいい夜を過ごした。もう遅い時間だが、冷凍していたクッキーを焼いてコーヒーを淹れて、寝室へ運ぶ。暖房が効いた寝室で、布団の横に適当な布を敷いてクッションを背もたれにしてコーヒーを飲む。いつもはやらないことだからか、なんとなくすこし特別な、豊かな気分。まだ寝ないでこの感じを楽しみたいと思う。もう随分前から切れたままだったギターの弦を一本張り替えた。正直に言うと、僕はスムーズに張り替えられずギターの弦にいらいらして、それに見兼ねた妻がやってくれた。大して練習もしたことのないギターを適当に爪弾いていると、大体10分もすれば先に進めなくなって、つまらなくなって辞める。毎回そんなことの繰り返し。クッキーとコーヒーがおいしい。ギターを置いてからは、コーヒーを飲みながら、秋に買ってから読むことができずにいた友人のZineをようやく読みはじめた。彼の詩と、彼の周辺にいる人々の短いけれどセンスのいい文章。こんな夜中にひとり静かにいい気分になってしまった。この時間でもいつも通りマグカップで2杯は飲める量を淹れて来たが、もうそれも飲み干した。台所へ行き、小さなグラスに養命酒を注ぐ気分でワインを満たして寝室へ戻る。そういえば、帰り道に降っていたみぞれ混じりの雨の音はもう聞こえてこない。
明日からの生活がすこし楽しくなりそうなこの予感はなんだろう。特に今日までと何も変わらない予定なのだけど、彼のZineで読んだいくつかの言葉は、僕にとっては充分にそんな気分にさせられるものだった。そして、彼にも会いたくなってしまうような。

'MJ' published by TABI BOOKS