GOMES THE HITMANと11月の日



 昨日、秋晴れの井の頭公園、紅葉は木々を見渡すだけでなく足下でも楽しめる。水面にもそのきれいで奥行きのある色が映っている。池を渡る途中、待ち合わせをしていた相手に会う。それだけでもなんだかきれいな物語が始まりそうな響きだが、そのくらいのことはあの場所にはありふれているのだろうな。それがまた好い。
 日曜日にGOMES THE HITMANのライブを観た。ぼくが高校生の頃に、テレビCMで流れていたのをきっかけに聴きはじめたバンドだ。と言ってもそのころはまだ今のようにライブを観に行くという習慣もなく、いくつかのCDを買って部屋で流したり、iPodに入れて自転車や電車での通学中に聴いていたのを記憶している。その後ライブを観たいと思い立ったころにはもうバンドは活動を休止していて、すでに山田さんはソロで各地をまわっていた。山田さんのブログでぼくの地元名古屋に来ることを知ったときに、すこし緊張しながら会場となる大須モノコトの様子を伺いに行ったことを、今書きながら思い出した。僕の記憶が間違っていなければ、それは自分ひとりで観に行く初めてのライブで、なんとなく一種の、大人の階段を上るような緊張感を伴う心持ちだったのだ。予約をする前に会場がどんな所なのか確かめて、大丈夫だと思ったら予約を頼んで帰ろう、と。思い返すと可笑しく、微笑ましい。たしか19歳の時の話。そしてその夏の徒歩旅行へと続くのだ。(山田さんが以前書いてくれた日記)
そんな存在だったミュージシャンと一緒にイベントを行ったり、公園で待ち合わせてランチをし、彼の自宅でコーヒーを飲みながら日が暮れるまでおしゃべりをしているのだから、先のことは本当にわからない。そんな自分のこれから先のことについて相談にのってもらった、というのが昨日の出来事だ。
 日曜日のライブのことに話を戻すと、一度も観られないままただ音楽だけ聴き続けてきたバンドが目の前にいるのは、すこし不思議な感覚もあった。正直に言うと、山田さん以外の3人のメンバーの方々については何も知らなかったのだ。あのアルバムの1曲目だな、と聴き慣れたインストの曲でライブがはじまった。それからは聴き慣れた曲も知らない曲も(すべてのアルバムを持っている訳では無い)、僕にとってはある意味すべて新しくて初めて目の前で観る、聴く音だ。「メンバー全員がそれぞれに音楽活動を続けてきて7年ぶりに集結した今、確実によくなっている」という山田さんの言葉と、そのメンバー皆さんの姿から表現されていたものは、最近ぼくが日々考えていることの先にある何かのように思えた。妻も同様に感銘を受けていて、ぼくらはすこし真面目な、そして前向きな話をしながら帰路についた。恵比寿の街はきらきらしていて、自分たちが意識していなくても冬のホリデイシーズンに突入しているんだという気分にさせられる。普段はあまり立ち止まらないイルミネーションも、その夜は近くまで行って見ようという気になった。その大きなクリスマスツリーは近くで見れば見るほど細かい装飾が凝っていて、大きくて楽しくて、いつのまにかぼくらも周りの皆と同じ、きらきらした光の中に居た。


(山田さん関連の以前の日記)
2013年11月9日
2014年1月2日