9/12/2012

Enjoy Trippin' Blues.


 2012.9.11

 寝る前の時間。今日はやっぱり一日中曇っていて、今もまだ曇っている。
 ひとつ悩んでいたことがあったのだが、ほんとに今さっき、自分なりの答えを決めた。ある意味では、カメラが旅を妨げていたのだ。これは僕の、僕による、僕のための考察、なんて言っておこう。
 今日は昼過ぎまで家でゆっくり過ごしていて、それからさっそく昨日買ったスケボーでHermosa Beachまで行った。日本で持っているものとほとんど同じサイズ、形なのであまり新鮮な気分にはならない。ハモサビーチまではスケートしていくとどれくらい時間がかかっていたのだろう、40,50分くらいだろうか。家から坂を下っていくとだんだん住宅地から店が建ち並ぶエリアに入っていき、そこを抜けるとRedondo Beachがある。正直に言っておくと、坂道では交差点がその先に見えたら、早めに降りて板を抱えて歩く。たまに調子に乗るとひやっとすることが多いので、あまり危険なことはできない。そこまでの技術も度胸もまだないのだ。そしてそこからはビーチ沿いのサイクリングロードをひたすら滑って行き、しばらくしてその次のビーチがハモサビーチだ。
 僕はよほどちょっとそこまで、というとき以外は、財布とケータイだけ持って出掛けるということがなかなかできない。それに憧れているのだけど、カメラ、と同時に替えのフィルムも必要だしノートも持っていたいし、どんな出会いがあるかわからないから自分のzineもいつも持ち歩いている。だから大体の場合はリュックを背負っているし、カメラだっていつシャッターチャンスが目の前にやってくるかわからないのでなるべく常に肩にかけている。正直言ってカメラもかけてリュックも背負っているそのスタイルはあまり好きではないのだ。もっと身軽でいたい。スナップ写真を撮る者の宿命なのだろうか。まあそこについてはまだスッキリしていない。実はもう結構前から気にしている。いつでも思い切り走り出せたり、フェンスをアグレッシブによじ上ったり、こけてしまったりカメラが何かにぶつかるのを気にせず動き回りたい。自分の行動をすこしおとなしくさせてしまっていることを感じる。仲良く付き合っているはずなのにこんなこと言いたく無いのだけど......やっぱり、もっと身軽でいたい。目にシャッターが付いていたらいいのに、といつも思う。まあ、それでもそのスタイルを続けている、というのが結局のところ答えなのかもしれないが。
 今回の旅のことに話を戻すと、簡単に言えばいつも以上にそんなカメラの負担を感じているということ。見つけたシャッターチャンスを逃すのは悔しいからカメラを肩にかけているが、それがさっき書いたように自分がこの旅でやりたいと思っていることを、すこしやりにくくしているのだ。写真を撮ることを考えると、僕の場合は自分の足で歩き回るのが一番いい方法だ。自転車では通り過ぎてしまったり、スケートでは瞬時に止まってカメラを向けることが難しい。それと音を立ててしまったり、雰囲気でこちらに気付かれてしまう。格好つけて言う訳ではなく、写真は一瞬なのだ。その人が向こうに顔を向けた瞬間とか、歩幅が一番伸びた瞬間とか、そういう小さな映像のどの瞬間に人差し指を押し込むかでイメージがつくられる。だから、写真のことを考えると都合が良くない。そんなことが自分の中にあったので、どうするのがベターなのだろうかと考えていた。そうしたときに思ったのは、この数カ月なんでお金を貯めてきて、今なんでロサンゼルスにいて、これから約3か月間なんでアメリカ西海岸を旅しようと思って来たのかということ。ここ4年間ほどの間に自分が影響を受けたもの、好きになったものが西海岸発のカルチャーであることが多くて、こっちで活動しているアーティストでも何人もいいなあと思う人たちを知ったからだろう。そんな場所をある程度ゆっくり時間をかけて、見て感じて回る旅に何年も憧れてきたのだ。今回の旅のことを話したとき、多くの友人たちは「アメリカに写真撮りに行くんだ〜いいね」というふうに言ってくれたが、僕は「写真を撮りに行く、って訳じゃないんだけどね。前から向こうのカルチャーに興味があるから、その中に自分を置きたいと思って。」と返事してきた。この言葉を僕の口から聞いた友人は実際に多いと思う。今日、さっき、このことを思い出して、何かつっかえていたモノがまた流れはじめたような感じ。今回の旅の間くらいは写真を常に撮ろうと構えていなくてもいいんじゃないか。そんな気持ちでいても、どうせ撮りたい時は絶対にリュックからすぐカメラを取り出すに決まってる。しかも今のところは、いつも以上にたくさんシャッターを切っている。これは!という撮るべきシーンはしっかり撮る、というのはきっと僕はせずにはいられなくなってしまうので、少なくともそこだけ押さえることができればいいんじゃないか、今回は。それと同時にひとつ決心できたのは、サーフボードを買うこと。今日はハモサビーチ周辺にいくつもあるサーフショップを見て回った。いくつか気になる中古の板は見つかって、お金も一応あるので(というかやっぱり日本の相場よりも安い)、あとはそれを持って旅をしていくことについて悩んでいた。また荷物が増えてしまう。けど、もう自分の考えがここまで来たら答えはシンプルだ。スケーターやサーファーの中に入りたかったのだから、スケボーもサーフボードも持って旅しよう。何も不安が無い訳ではないが、嫌になればどこかで売るかあげるか、日本に送るかすればいいし、旅のかたちは常に変化しても何も問題は無い。「流れながら見えてくることもあるんだよ」と、ある映画の中でもたいまさこが言っていた。
 そういうふうな考えに至ったことも気分がいいし、僕は今、改めてこうして文章に書くことの意味をすごく感じる。思いついたことを書きながらじわじわと自分の中で考えが整理されていく。Enjoy California! Enjoy West Coast!! Thank you.