Redondo~Venice by bike.


 くもり。薄いグレーに水色をすこし混ぜた感じ。
 昨日はおばさんに借りている古いビーチクルーザーで走り回った。もともと平坦な海辺を走るためのものだから、それで走り回る、というのはなんか変な感じ。けどまあ今は足が無いのでTシャツを汗でベタベタにしながら半日走り回った。海辺まで行くと、周りのほとんどの人たちと同じようにTシャツを脱いだ。海沿いにずっとつづくサイクリングロードにはウォーキングをする人もジョギングする人も、スケートする人(スケボーもローラースケートも)もたくさんいて、そしてきっと毎日のようにこうして海辺に出てきているのだろうと思わせる自然な光景が流れて行く。そんなきもちのいい道を裸になって自転車を走らせていると、自転車が重たいとかカチカチの革のサドルでお尻が痛いとかいうことはあまり気にならない。気になるのはサーフボードを抱えて海へ歩いて行ったり、向こうで波待ちをしているサーファーのことや、その道沿いに立ち並ぶなんともかわいい家々の造りとそのテラス、庭のことだ。すれ違う人と「Hi.」と微笑み合えるとさらに心が和む。海を左手に見ながら北へ走る。
 Redondo Beachを出発していくつものビーチを通り過ぎ、Venice Beachまでたどり着く。ベニスはお店がたくさん並んでいて平日でも活気があり、割と若者向けなビーチタウンという感じ。スケート好きなら知っている、かつてZ-Boysたちが生まれて来たDOGTOWNと呼ばれていたエリアもベニスにあったはずだ。ずっと興味があったSan FranciscoにあるMollusk Surf Shopのベニス店を見つけて、そこでTシャツとEd Templetonのアートブックを買った。店のカウンターには誰が店員かわからない感じで彼らの友人たちも数人集まっていた。そしてまた別の友人が入ってくると、僕には大げさに思えてしまうくらい大きな声で挨拶を交わして場の空気が盛り上がり、プシュッと缶ビールを開ける音が聞こえてきたりして、ここでもこれが日常なんだろうと思わせる。ほとんどみんなサーフショーツを履いていてTシャツを脱げばすぐに海に入れるぜ、というラフな雰囲気で、ノリは違えど居心地は悪く無かった。というかむしろこの店のラフでオーガニックな雰囲気は大好きだ。その隣にはベジタリアンカフェもあった。会計を済ませた後にこの辺りに安いユースホステルなんてあるか聞いたら近くにある、と店の外まで出て教えてくれた。あることは知ってたのだけど話しかけるきっかけとして聞いてみた。今回の旅は恐れず積極的に英語で話しかけていこう。スケボーショップも教えてもらったり、この町にすこしステイするのは良さそうだ、とかすこし会話をして、きっと近々また来るよと言って店を出た。昨日は大して盛り上がる話をした訳ではないし次に行ったときに憶えてくれているとも思わないが、彼らと友達になれたらきっと楽しいだろう。それから教えてもらったVenice Beach Skate Parkに向かった。砂浜につくられた、きれいでワクワクするようなパークだ。僕はパークでスケートするような技術は無いし、とりあえずは移動手段としてそこら辺をクルージングしていれば満足なので中には入らないが、外から見ているだけでも十分楽しめた。気付いたらもう日が落ちる寸前で、すこし急ぎ足でその場を後にした。帰る前に寄ったスケボーショップで買った板をリュックと一緒に背負って、自転車を漕ぎだす。海岸沿いのサイクリングロードは結構暗いし、この自転車にはライトが付いていないのでできるだけ日が落ちきる前に走らないと、と帰路を急ぐ。急ぎながらも、右手に見える夕焼けのおかげで気分はいい。輝くような夕焼けではなくて、ゆっくり溶けていくような色だった。帰り道はさすがに疲れて、やっぱり今日はすこし筋肉痛。