硫黄の匂いと子どもの頃の記憶



12月26日金曜日
 レンタカーを借り、すこし足を伸ばして別府へ行った。至る所から湯煙が立ち上る景色に興奮し、宿に荷物を降ろし、外を歩いて回る。その先を進んで行けば見晴らしのいい場所へ通じている気がして歩き続けていると、犬の散歩をしていた地元のおばあちゃんが「この先に行っても何もないし、暗くなるから戻った方がいい」と教えてくれた。引き返してスーパーに寄って食材を買い、宿に戻って温泉に入った。その地域の名物でもある「地獄蒸し」と呼ばれる、温泉の蒸気を利用した蒸し料理を作った。野菜や卵やウインナーを蒸しただけなので料理とは呼べない程度だが、情緒ある夕飯をそれなりに楽しんだ。夜中にひとりでもう一度貸し切り状態の温泉に入り、部屋で安いワインをひと口飲んで寝た。ベランダに出していたワインは冷えていて美味しかった。ぼくは赤ワインでも冷えているのが好きだ。それと、温泉の硫黄の匂いも嫌いじゃない。子どもの頃、夏に汗疹ができると、お風呂でムトウハップという黄色い液体を使っていた記憶が、その匂いによって思い出されるのだ。