個展は訓練だから

 晴れたりくもったり。くもっていてもかく汗の量はあまりかわらなかった。けどジリジリ日差しを浴びながら感じる厳しさは無い。
 前にも一度、永井さんと二人でコーヒーを飲みながら話をしたときのことを書いた気がするが、そのことはやっぱりフとしたときにたまに思い出す。そのときに永井さんが言っていたことで印象深く憶えているのが「個展は訓練だからどんどんやったほうがいい」という言葉だ。特に、訓練だから、という言い方をよく憶えている。それまで個展を開くということに対して、いつかしようとは思っているけどもっとしっかり撮り貯めてばっちり準備してからじゃないと、なんてまだ先の将来のことと思っていた。周りにいた写真をやっている知り合いたちの中で個展を開いたことのある人へは、なにかそれだけでおーすごいななんてどこかで思っていたし、個展イコール写真家としての成功、とまで言ったら大げさだけどもそれに近い、目標として捉えていたのだ。そんな個展を開くことに対して、平然と「訓練」だとか「どんどんやったほうがいい」だなんて言ってもらえたことはすごく大きなことだった。事実、その三か月後に初めての個展を東京で開くことにつながったのだ。そして自分の最初の個展を外苑前のTAMBOURIN GALLERYでできたことも自分には意味のあることだった。永井さんが仲間たちともう十何年も前に葉山でやっていたSUNLIGHT GALLERYのことは本で読んだり話を聞いたりして、当時の出来事を、大好きな映画のストーリーのように頭の中で思いを馳せ、眺めて来た。そのころの僕には、夢見て来たと言ってもいいくらいだ。そしてそのつづきのようなことをまたやろう、ともう一度つくったギャラリーがTAMBOURIN GALLERYだ。影響を受けて来た人たちのストーリーの中に自分も入っていきたかったし、なによりも永井さんたちのギャラリーで個展を開くことを自分の活動のスタートにしたかった。そしてこれからは「どんどんやっていく」ということ。
 夏になって永井さんのことを思い出すことが増えた気がする。