旅をする本


 晴れ。まだまだ暑いが、今は窓から風が吹いて来てきもちいい。いよいよあと10日で旅がはじまる。その前に、晩夜行バスで愛知へ帰る。会いたい人に会ったり、荷物をまとめたりするための1週間。
 19歳の頃、きっとその辺りから性格というか価値観、人生観などが変わりはじめたと思う。そのきっかけになったもののひとつで、個人的に思い入れのある一冊の本を大手古本チェーン店で見つけた。それを手に取り裏表紙を見たら、バーコードの上に二枚重ねて値札シールが張られていて、上のシールは「¥105」とスタンプされていた。いつか誰かへの贈り物にしたいと思って買って帰ったその本は、数カ月の間僕の本棚に置かれていて、今日久しぶりに手に取った。「¥105」のシールを慎重に剥がしているとその下に「00」が見えて来て、すこしだけ息をのんでさらに剥がすと「7」が見えた。それも一緒にゆっくり剥がした。大した跡は残らず成功。なんとなく子どもの旅支度を手伝ったような気分。よい旅を、と8月が終わる日に送り出す。