Once in rainy Portland.


 昨日は朝から雨だった。リビングルームにエアーベッドを用意してくれているのでそこで毎晩寝ているのだが、どうやらすこしずつ空気が漏れてしまっていて、数時間おきに空気を入れ直す必要がある。だから毎朝目が覚めるとベッドにすこし埋まってる感じ。掛け布団を奪われたらちょっと面白い画になっているかもしれない。そんなベッドから起き上がってすこしゆっくりしていると雨が止んで、遠くの空からすこしずつ明るくなって来ていたので家を出た。まずコーヒーを飲んで一息ついたら昨日はダウンタウンの方まで行こうと思った。けど家を出てすぐにまた雨が降り始め、レインジャケットを着てコーヒーショップに駆け込む。雨は強くなっていったので、そこでゆっくり過ごそうと思い(一回ならおかわりがフリーだし)、友人へ葉書を書いていた。細かいところにも気付いてくれる友人だから、細かく色々と書き込み、ここに気付いて笑ってくれるかなとか思いながら遊んでいたら、だんだん雨が治まってまた日が差して来た。そしてダウンタウンへ向けて歩いて行った。雨が降り続いていたら、前日と同じように一日中家で映画を観たりすることになっていた。前日にマリーのDVDコレクションの中にラブアクチュアリーを見付けてしまったので、きっとそれを観て、来たるクリスマスシーズンに思いを馳せてじんわり温かくなっていたことだろう。きっと近いうちに現実になると思うけど。
 大きな川がポートランドを東と西に分けていて、家のある東側から西側のダウンタウンへと橋を歩いて渡る。雨上がりの日差しと強い風が気持ちよかったが、その橋を渡り終えるころにまたパラパラと雨粒を感じた。そしてまたそれはどんどん強くなって、今度は嵐みたいな大雨になり、パブか何かの入り口前に逃げ込んでしばらく雨宿り。数分経つと止んで、また歩き出す。昨日は変な天気だった。ポートランドのダウンタウンにある、アメリカで一番大きな独立系書店Powell's Booksへ。自分が店内のどこにいるのかわからなくなるほど大きくて見応えがあったが、英語の本を読もうとは思わないので結局行くのは写真集コーナーだ。今年青山の洋書店で買ったWim Wendersのフォトジャーナルブックを見つけた。彼が映画の撮影や旅の中で撮ったモノクロとカラーの写真に簡単な文章が添えられている、お気に入りの一冊だ。"Once..."という書き出しで、かつて彼が行った場所、見た光景、写真に写っているその背景の物語が短い文章で書かれている。手に取ってパラパラとめくって見ると自分が持っているものよりも写真の数が多い気がした。見覚えの無い写真がいくつもあったのだ。そんなのは気のせいだと思うし特に安かったわけではないけど、これは買ってもいいと思えた。装丁も気に入っていて、いつか作る自分の本の参考にしたいもののひとつだ。日本に帰ってから確かめてみて同じ内容だったら、一冊はいつか誰かにあげよう。きっとこれを持つべき人がいると思う。けどそのときにどっちをあげようか考える。一応見分けがつかなくならないように、パウエルズブックスのシールは剥がさないでおこう。そう書きながら、違う本を買っていてもきっと剥がさないだろうなと思った。
 今日は晴れそうだ。ジャックが声をかけてくれたので今からコーヒーを飲みに出掛ける。昨晩彼から届いたテキストはたった三つの単語の並びがきもちよかった。
"Coffee tomorrow morning?" 

2012.11.21 Wed. late morning wrote.