11/15/2012

PORTLAND, feeling good

昨晩のちゃんこ鍋
散歩日和

 まだ四日目だが、ポートランドが今回の旅で訪れた街の中で一番自分に合っていると思う。まだうまく言葉にできないが、なんとなくただの旅先、という感覚とは違う居心地のよさを感じられている。それは初めから友人の家に泊まれているという安心感や、その友人つながりでまた友人になれそうな人たちとも日々出会えていることもすごく大きい。泊めてくれているマリーとマイクは同じTANNER GOODSというMADE IN PORTLANDの革製品のブランドで働いている。昨日はその工房へ連れて行ってくれ、実際に製品を作っているところを見学した。スタッフのみんなもフレンドリーで感じがよくて、おしゃべりをしたりイヤホンで音楽を聴いて集中しながら、自分の好きなブランドの工房で活き活きと仕事をしている様子が羨ましくも思えた。オーナーのマークも親しみやすい人で、すこし話をした後、PORTLAND LEATHERという革の問屋のような大きな倉庫へ荷物を取りに行くのに連れて行ってくれた。友人がいて彼らが連れ出してくれることで、自分ひとりではなかなか経験できないことへと繋がっていく。本当にありがたい。「ここで働いている人はみんな日本に行きたがっているよ」とマリーが言っていた。「みんな日本のクラフトマンシップに興味があるの」と。
 ポートランドはいたるところにフードカートが出店していて、場所によっては駐車場にたくさんのフードカートがあつまっていたりする。昨日ランチを買いに行ったダウンタウンの中にあるそんな場所は、たぶん20~30軒くらい並んでいたと思う。毎日ひとつずつ試していきたいと思うほどどの店も魅力的だった。悩んだ末にチャーハン。そして昨日は夕飯にマリーががちゃんこ鍋をつくってくれた。"SUMO WRESTLER HOT POT -Chanko Nabe-"と書かれたレシピを見ながら丁寧につくられたちゃんこ鍋は本当においしくて、二人の優しさに甘えて腹一杯食べた。夕飯を食べ終わる頃、大体夜9時頃に、ほとんど毎日同じアパートに住む友人が2~3人集まってくる。今のところ上の階に住むフォトグラファーのカールという男とは毎日会っている。最初の日曜日の夜にマイクが「これはすごくアメリカ的なことなんだけど、日曜日の夜9時にはみんなでテレビを観るんだ」とは聞いていたが、どうやら日曜日に限ったことではないらしい。9時頃にノックをして、ビール片手に入ってくる。自分の家が毎日そんな場所になるのは僕はすこし嫌だが、今そんなアメリカ人の習慣の中に入っているのはおもしろい。コメディドラマやアニメ、バスケの試合を観て、その合間にサッカーゲームをする。久しぶりのテレビゲームに僕も同じように盛り上がる。ダッシュボタンはどれ?と聞いたら「俺たちはそれをトラベルって言うけど、ダッシュって言うのはかっこいい!」なんて言っていた。そうして二時間ほどリビングでみんなで過ごし、適当な時間になると「もう寝るよ」と行って帰って行く。そしてマリーとマイクもすこししたら「おやすみ」と言ってベッドルームへ行く。リビングにベッドを用意されている僕は自然と毎日そのタイミングでひとりになり、歯を磨いて眠りにつく。
 今日ポートランド4日目にしてやっと青空を見た。雨期に入っている今の時期はグレーの空が日常で、これはこれでポートランドらしくていいや、と思っていたがやっぱり晴れるときもちいい。歩き回るには絶好の日、コーヒーショップもひとつお気に入りを見つけて気分も軽い夕方。今晩はタイ料理を食べに行こうと話している。それとこないだのパンプキンパイはやっぱりあの日の晩に食べることができ、今や僕の好物だと言える。パンプキンビールというものも飲んだ。食が豊かというのと同時に、食を楽しむことができるのも豊かだ。今はそのどちらにも恵まれていて、お腹も気持ちも満たされるポートランドの日々。ありがたい。

2012.11.14 Wed. evening wrote.