猫のスギ平



1月14日水曜日
 庭に鳥が集まって来る。別にネム(飼っているインコ)に引き寄せられて来ている訳ではなく、木の実や花を食べに来ているようだ。最近はクチナシや千両の実を食べていて、きっともう少し経ったら去年のようにコブシのツボミも食べられてしまうだろう。昨日はスズメとハト、そしてヒヨドリが集まっていた。そんな鳥たちを狙っているのかどうかはわからないが、猫のスギ平が久しぶりに姿を現した。スギ平とは、去年からたまに庭を横切っていくのを見掛ける賢そうな良い顔をした白黒の猫だ。先月12月、雨の降る日にテラスに雨宿りをしに来た日から、ぼくは彼にすこしばかりの親近感を抱き、名前を付けて呼んでいる。その数日前、初対面の人に挨拶をしたら杉江が「スギ平」と聞こえたらしく、「スギ平さんは◯◯なんですか?」と会話に出てきた時は笑ってしまった。と同時に「杉江スギ平」というのはなかなか好い名前だと思い、いつかペットに名付けてやろうという気になっていたのだった。
 昼ごろ、そんな猫のスギ平の鳴き声に気が付き庭に出ると、鳥たちも逃げていき、スギ平もゆっくりどこかへ去って行ってしまった。彼の、他の野良猫のようにササッと走って逃げて行かず、ゆっくり去っていくところが気に入っている。もう一か月近く姿を見ていなかったので見られただけでも嬉しかった。昨日の午後は、テラスへ通じる窓を開け放って部屋の掃除をしながら模様替えをしていたのだが、夕方ごろ、フと視線を感じて窓の方を見ると、部屋の中に入って来そうな程すぐそこにスギ平がいてこちらをジッと見つめていた。10秒くらいジッと目を合わせ、iPhoneで写真を撮ろうとしたらまた歩き去ってしまった。なんとなく彼に対しては「逃げる」ではなく「去る」という言葉を使いたくなる。今日は来るだろうか。朝から庭をチラチラ気にしている自分がいる。